ログハウス完成後のふたつの物語
完成しても終わらない
もうひとつの家造りストーリー
実はこの別荘について感動的なエピソードを聞かせていただいた。奥様のお父さまについてである。
そして、完成後に発覚したご主人の思いがけない病。家造りストーリーは、まだまだ続いていく。
奥様は家が完成してすぐに、大分に住んでいるご両親を招待した。お父さまは、この家をことのほか気に入ったという。
しかしその翌年(平成10年)、お父さま食道ガンに冒されていることが判明し、医者に「長くても半年の命」という宣告を受ける。かなり進行してしまっていて、放射線治療と抗ガン剤で進行を少しでも止めるほか手段はないのだが、効果は思わしくなかった。
最愛の孫娘と囲碁を楽しむ奥さんのお父さま
「絶望的になってしまった父は、食事を拒否。『いつ死んでもかまわない』と言いだして、見る見るうちにやせ衰えていきました。母からそのことを聞き、何とか生きる気力を取り戻してほしいと『早く元気になって、またこの別荘に来てください』と子どもたちが手紙を書き、別荘に来たときの写真を添えて送りました。
ベッド脇に置いてある、別荘の写真を毎日眺めているうちに、その幸せな日々と受けた感動を思い出したそうです。シダーの香り、バルコニーに座って眺める景色、聞こえてくる木々のざわめき、自然との一体感、子どもや孫たちとの交歓……。『もう一度あの別荘に行きたい』。ある日そういう思いに駆られたそうです。『あの感動をもう一度味わう、そのために生きよう』と」
「それからというもの、積極的に食事をとり、治療も受けるようになりました。すると不思議なもので、放射線治療の効果もあらわれ始め、少しずつ快方に向かいだしました。
そして平成12年、ついに別荘に来ることができたのです。さらに、ガンが発覚して5年目。なんと、ガンが完治してしまいました。担当の医者は大変驚いたそうです」
奥様のお父さまは現在76歳。今でも一年に一度は別荘を訪れ、そこでの生活を心から楽しんでいる。
今度はご主人が思いもかけない病気に侵される。神経系統の難病で、体が動かなくなり、いずれ寝たきりになるという、いまだに治療法も発見されていない病気である。ブラックホールの研究で有名なホーキング博士が同じ病気であるという。
別荘の完成した頃、すでにかかっていたのだが、当初はこの病気だとは分からず、病気が判明したのは平成12年のことだった。
「幸い私の場合は病気の進行が非常にゆっくりでした。この病気は治療法がほとんどなく、本人が生きる希望を持ち続けることが大事なんです。それには、可能な限り仕事を続けること。そして、自然と親しむことです。ですから、引き続き患者さんを診ていましたし、可能な限り別荘にも行くようにしました。別荘で過ごすと本当に気持ちが安らぎ、調子がいいんです」
しかし、病気の進行と共に、だんだんそれが困難になってくる。たとえば、道路から玄関まで70段ほどの階段を登らなくてはならない。元気なときは何でもなかったのが、この病気の身には大変な苦労になる。
「平成16年のある日のことでした。妻に助けられながら1時間くらいかけて階段を登り、玄関まであと数段というところまで行ったのですが、そこで力尽きてしまい、一歩も歩けない。そこへ雨が降ってきたのです。玄関にへたり込んで『この別荘に来るのも今日で最後だね』と、ふたりで悲しい相談をしたことを今でも思い出します」
「別荘を手放そう」と考えた鈴木さん夫妻は、子どもたちに事情を話した。すると、ふたりは絶対に反対だという。子どもたちにとっても思い出のいっぱい詰まった、大事な大事な別荘だった。
家族で何度か話し合った結果、持ち続けることに決まった。
「フロンティアワールドの三浦さんに相談し、まずは階段昇降機を取り付けました。家の中の登り降りは大変ラクになりましたが、問題は道路から玄関まででした。
最初は外にリフトのような物を設置したらどうかと検討してもらいましたが、それだけで800万円くらいかかってしまい、さらに屋根をかけなくてはならず、メンテナンスも大変。これは現実的ではないと諦めました。しかし、しばらくして三浦さんがまったく予想もしなかったアイデアを出してくれました」
実は建物の背後に別の道路が通っていて、玄関よりも高い位置になるが、うまく活用できそうだった。しかし、鈴木さんの敷地はこの道路に接しておらず、利用できない。鈴木さんの隣地(100坪)はその道路に面しているので、もし隣の土地が手に入れば……。
さっそく隣地全体を測量して高低差を測り、プランを作ってみる。結果は、"実現可能"であった。
そのプランは、隣の敷地を造成して車が進入できるようにし、そこから建物に向かってブリッジを渡す。そして、1階の壁を抜いて新たな入り口を設ける(今までの玄関は地階)。ここに、「どうせならブリッジの前にデッキを設けよう」という鈴木さんの希望が加わった。
土地の買収は富士観光の営業の担当者に依頼。少し時間がかかったが、うまく交渉してくれて予算内の値段で手に入った。
土地のめどがついたところで、詳細なプラン作りに入る。
改造プラン
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