
一番悩んだのが木登り用の長い丸太をどのようにして運ぶかであった。
輸送用の最大の40フィートコンテナーでも、積めるのは最長12mまで、一方木登り競技用の丸太は20m、
さてどうしたものか。結局20mの丸太を二つにカットし、特殊な金物を作って現場でつなぐというアイデアをウイック・ハイム氏が考え出してくれて、この件は解決できた。
その他の資材を含めて結局コンテナー2台を要とした。それらの輸入業務もこなさなくてはならないが、そこはログハウスの輸入で慣れているので問題はない。
司会者の役割は重要でショーの成功を大きく左右する。真っ先に古舘一郎の名が上がり交渉してもらった。彼はスポーツアナの経験もあり、立て板に水の、あの古舘節はこのティンバー・ショーには打ってつけで、ショーを盛り上げてくれるに違いないと思ったのだが、残念ながらOKが得られなかった。
売れっ子だけに、一と月のロングランは無理というのである。結局地元のTV局の人気アナウンサーに引き受けて貰うことになった。
会場の設営方法、プログラム作り、ショーの台本作りのアドバイス・・・と慣れないことばかりであったが、それぞれ新鮮で面白い体験ではあった。
ところで、ティンバー・ショーの世界で、これだけで生計を立てている、真にプロと呼べる人は10人にも満たない。 写真:開会式に勢ぞろいしたメンバー
今回の参加者9人も皆他に仕事を持ってい (中央ウイックハイム氏。その右に末吉北九州市長)
て、声がかかるとこのショーに参加する、
いわばセミプロである。親玉のウイック・ハイム氏も小さな町工場を持っていてそちらで生計を立てている。
薪を作る工場というところがいかにもカナダらしい。
木登りを教えてくれたマイク・ロジャーソンは180cm80kgの鍛え抜かれた体をしている。
トレーニングの方法を聞いたら腕力をつけるための懸垂と足に錘をつけてのランニングだという。
製材所で働き、スポーツとしては他にアイスホッケーとサッカーをしている。
ログバーラー(水上丸太転がしの選手)は比較的小柄でバランス感覚の優れている者がなる。
今回参加したフィル・スコットは日本人の中に入っても小柄な部類にはいるだろう。
ユーモアに富みサービス精神旺盛で陽気なその人柄故にショーでも一番の人気者だった。
ノバスコシア州の出身で父上は大物狩猟と釣のガイドとして有名とか。
1968年連勝を続けるウイック・ハイム氏を40分もの死闘の末破り、以来9回ログバーリングの世界選手権を獲得している大ベテランである。
1967年カナダ横断カヌー大会にチームの一員として参加している。
川を漕ぎつなぎ陸はカヌーを担いで歩き数十日かけて大陸を横断するという、いわば大陸横断カヌーマラソンである。面白そう!
親子兄弟で楽しむというのもこの競技の特徴のようだ。親が仕事の合間に子供の相手をしてやり、それがこのスポーツを始めるきっかけになるのだろう。
デニー・ハーリングとマイク・ハーリングの兄弟は
ウイック・ハイム氏にログバーリングを教えてもらいこの世界に入っている。間にスティーブとポールというもう
二人兄弟がいるのだが、父親も含めて全員ロガースポーツの選手だった。ひと頃親子5人全員でショーに
参加
していた時期もあるという。マイクはボート修理の仕事、 デニーはウイック・ハイム氏の薪作り工場を手伝っている。
最年少はウエイドの19歳、最年長のメルリンは56歳である。長く楽しめるスポーツである証拠だ。
ウイック・ハイム氏を始め多くは前述のスーク (バンクーバー島の南端の町)の出身である。
それぞれ北米大会や世界選手権などの最高ランクの大会でチャンピョンシップを獲得している。
皆子供の頃から丸太を相手に遊びに興じ、一寸やってみようかと地方の大会に出てはまり込み、次第に中央の大会へとランクを上げ、ついにチャンピオンへの道を登りつめてきたのである。
ショーは司会者のアナウンスで、次から次へと間をおかずテンポ良く進んでいく。
必ず二人または2チームに分かれて競争する形をとる。分かり易いいようにとメンバーは赤と青のシャツを着ている。時に司会者とメンバーの掛け合いを入れたりして、観客をあきさせない。
回転がとまり今度は反対方向に回していく。ショーなので、ある程度の時間持たせて適当に勝負をつけているのだろうが、そのバランス感覚、自在に丸太を回すその技術は見ごたえがある。
勝った方も負けた方も最後は必ず水に落ちてずぶ濡れとなり観客の笑いを誘う。
![]() |
![]() |
上端に取り付けられた鐘を鳴した後の下りが凄い。下りるというより落下するようなスピードだ。最後のmほどは下に 置かれたラバーの上に一気に飛び降りると、固唾を呑んで静まり返った観客席にどっとどよめきが沸き上がる
あくまでショーであり、競うのが目的ではなく観客を楽しませるのが目的であるから、 ロガースポーツ本来の緊迫感はないかもしれないが、このスポーツのユニークさ面白さは充分に伝えられたのではないかと思う。