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ログハウスHOME > 図書館・出版トップ >エッセイ集>エドと過ごした日々第2回
エド・キャンベルとともに過ごした日々 第3回 コミュニテーに溶け込む

ログハウス造りの道具
エド・キャンベルと過ごした日々

ログビルダー
として約3年半の間エド・キャンベルの元で
働いた 平川隆一の、詩情あふれるエッセイ
(ログハウス・プラン誌に連載)

第1回 ログビルダーの冬と春

第2回 コミュニテーに溶け込む

第3回 スコッッチクリークの夏

第4回 ログビルダーへの憧れ

第5回 開拓者の末裔たち

第6回 ログハウスを造るということ


2 第2回 目次

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1.スコッチクリークとシュスワップ湖

 長く厳しい冬が終わりを告げると、気温がグイグイ上昇し春がやって来るのだが、私にはその春がとても短かったように思われる。 気がつくと、夏と勘違いするような日があるからだ。
 春が訪れ、山々の雪解け水があちこちの沢を伝い、川となり、やがて私が住んでいた スコッチクリークから望む、シュスワップ・レイクへと注ぐ。

 スコッチクリークという町の名前は、近くを流れる川の名前スコッチクリークに由来し、ここも又、
雪解け水で水量が増す。年に一度この時期になると、つい数週間前までは分厚い氷に ログハウス造りの道具 覆われたいたここシュスワップ・レイクは あふれんばかりに満々と水をたたえる。

 雪解け水はあくまで冷たく、 魚たちもまだ底の方で
じっとしているようだ。
 水はとても綺麗で、湖岸に住む人々は、湖水をそのままポンプでくみ上げ、 飲料水として使用している。

 これから夏に向かい、この湖はたくさんの人々を魅了
し、呼び寄せる。そして、夏の休暇を過ごす人々に、絶好の場所を提供する。

2.シュスワップ湖は隠れされたリゾート地

 カナダの人々にとってこの町は、実は、隠された避暑地でありリゾート地なのである。
湖や山のないアルバータ州や サスカチュワン州の平原の住人は、わざわざロッキー山脈を超え、
州境を超え、ここシュスワップ・レイクを目指す。

 思い思いの 車にキャンピング用品を積めるだけ積み、ご自慢のモーターボートやジェットボートを
トレーラーで引っ張って、はるばるこの湖にやってくる。

 森の中の州立キャンプ場、プロビンシャル・パークはいつも超満員で、整理券を手に入れるために、
朝早くから並 ばなくてはならない程盛況だ。

 腰を落ち着け、 森の中でのキャンプ生活を楽しむ

 苦労して整理券を手に入れ、与えられたキャンプサイトにやっとの思いでトレーラーを止め、
キャンプ用具をセットするかテントを張ってしまえば、 1週間や2週間はもう動くことはない。
  じっくりと腰を落ち着け、 森の中でのキャンプ生活を楽しむ。
 日がな一日泳いでみたり、砂浜で体を焼いてみたり、ビール片手にワイワイと バーベキューに
興じたりしている。

ログハウス造りの道具  芝生に転がって青空を眺めるもよし、暑ければ森の中にハンモックを
吊り、ドライな空気を肌に感じながらの読書三昧もよし 、気が向けば、
そのまま風に吹かれて昼寝と洒落込んでもいい。

 ルールを守りじぶんたちの自由を楽しむ。

 夜は夜でキャンプファイアーを囲み、ウイスキーかワインで お喋りを
楽しんだり、歌でも歌ってみる。
 でも決して他人に迷惑をかけてはいけない。他人のプライバシーを
 侵害するのはもってのほか。 ルールをはみ出すことなく、 自分達の自由を楽しむ。

    特別に観光するわけでもなく、素敵なワードロープに身を包んで、街中を闊歩するわけでもない。
もちろん沢山のお金をかけるわけでもないし、隣近所へのお土産を買い込むこともしない。
キャンプにきて、 そこにある日常を、住民の一人として楽しめばればそれでいいのだ。

 だからテントサイトが空き缶で汚れるはずもない。
とてもシンプルだけど、 これも休暇の過ごし方のひとつだと教えられた気がする。

 夏の早朝、私は自転車でワークサイトに向かう途中、人々が起き出す前にこの プロビンシャル・パークを
通り抜ける。 昼間人々で賑わうビーチには、誰一人姿を見せてはいない。

3.夏の仕事は早くから始まる

 夏は早く、午前5時30分には仕事が始まる。
 日差しの強いこの夏の時期、私たちは日中の暑い時間帯を避けるため、しばしば朝早くから仕事を始める。

 午前5時30分にチェーンソーのエンジンを始動させ、午後2時あるいは2時30分には、 その日の作業を終える

  空気は乾燥し、木陰へ入りさえすれば、涼しい風が肌に心地よい。
それでも日差しはやはり強く、春から初夏にかけ、 私の肩から上腕にかけて、 しばしば日焼けによる水ぶくれが発生するほどだ。



  朝のコーヒーブレイク、昼のランチタイム、私たちは暑く火照った体を冷やすために、 ワークサイトを抜け出して、 200mほど離れたビーチに一目散に駆け出す。
 そしてそのまま朽ちかけた古い桟橋から、一斉に湖水に飛び込む。

 冷たい湖の水が、 一瞬にして火照った体の中にしみ込んでくるようだ。
ジーンと音をたてて熱が冷めていくのが分る。たった5分間だけ。
 私たちはすぐさまワークサイトへ取って返し、放り出したままのチェーンソーを握り、
再びログの刻みを始める。

4.野菜の栽培が大きな楽しみ

 カナダの夏の日照時間は、とても長い。午後10時ころまでは、外はほんのりと明るい。
仕事を早く終えた私たちは、思い思いに自分のやりたいことや遊びにタップリ時間をかけられるわけだ。
まるで長い冬の間にじっと蓄えておいたエルギーを、一気に発散させるように・・・。

 ビーチで泳いでもいい、湖畔でバーベキューを楽しんでも勿論いい。カヌー、カヤック、ハイキング、ジェットスキー、マウンテンバイク・・・自然の中でやりたいことは沢山ある。
  私はカナダで、生まれて初めて体験した野菜づくりに精を出す。ビールを飲みながら畑を耕すことも、私の楽しみのひとつだ。
 夕食時、一歳の娘、舞衣の手を引き、畑に新鮮な野菜や苺を収穫に行く。そして、一つ一つ作物の名前を娘に教える。採れたての新鮮な野菜を食卓にならべて、美味しく頂く。これも私たちの幸福の一つである。

 早く寝ようと10時ころにベッドにもぐり込んでみるのだが、外はまだ明るいままだ。カーテンの隙間からこぼれる光りが眩しくて、なかなか寝付くことが出来ない。明日も、5時30分から仕事だ。ゆっくり眠れますように。
  おやすみなさい。








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