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土地を考えるA


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土地のメリット、デメリット

不動産屋さんは、特定の地域には詳しいが、自分のテリトリーから外れると、情報量は極端に落ちる。
その点、建設するものの目で土地を探すと、日本中で仕事をしているので、その地域が他の地域と比べてどうなのかを、比較検討するデータがインプットされる。同時に、建設する場合の問題点や、メリット、デメリットがよくわかる。

例として、前出の傾斜地を考えてみよう。当然ながら、傾斜地は平坦地よりも建設コストがかさむ。しかし、これは相対的な問題で、割高になる分を補えるほど土地が安ければお買い得である。
「基礎に100万円多くかかるが、土地はほかより200万円安い」、トータルコストで考えると、これは割安である。
一般的に傾斜地は、平坦地よりも眺望がいいし、下に家が建っても、眺めを遮られることが少ない。これはメリットである。
傾斜地に家を建てると、坂の上り下りという問題がある。「年を取って脚が弱ったときのことを考えれば」デメリットだが、「足腰の訓練」と考えればメリットである。もちろん傾斜角度の問題はあるにせよ、その人の考え方次第でメリット、デメリットは違ってくるはずだ。

プランニングの方法でデメリットをカバーする方法もある。道路から下がっている傾斜地であれば、道路からブリッジを渡し、2階から入るようにし、ここにリビングやキッチンを持ってきて、下の階を寝室にする方法も考えられる。
このように「傾斜地だから」といって、単純に評価は下せない。だからこそ我々は、さまざまな要素を考慮してアドバイスする。そこまで材料をそろえてあげれば、オーナーも的確に判断できるというわけである。


土地探しの難しさの、もう一つの側面

自分の希望する土地を探すのは、なぜ難しいのだろうか。
対象となる地域や条件が限定されているのであれば、ある程度決められた範囲内で探せば、案外希望する土地が見つかりやすい。
例えば、アパートや借家住まいのサラリーマンが、自分の家を持とうと決心したとしよう。この場合の条件は、一つは仕事場へのアクセスの問題、もう一つは予算である。この2点によって範囲が決まる。その上で、周辺の環境や学校、商店、医療機関といった、日常生活で欠くことのできない条件を絡ませていけば、かなり地域を絞り込んでいける。地域が絞り込まれれば、地元の不動産屋さんの登場となり、情報を基に土地探しが始まる。
しかし、別荘や永住の地を探す場合のように範囲が広くなると非常に難しくなってくる。


土地探しの発想を変えてみる

土地の相談を受けていて最近感じるのは、永住希望者が確実に増えているということである。別荘希望でも、定年後はそこで暮らしたいという潜在的永住希望者が多い。また、定午則に退職し、体力も気力もあるうちに第二の人生をスタートさせたいという人の割合も、確実に増えている。

とはいえ、都市部で、それも緑に囲まれた生活を望むのは、一般庶民には難しいことではある。ここに、新幹線通勤という新手が出てきた。いろいろな相談を受けながら、この方法を真剣に考え、あるいは実践している人が少なくないことを実感している。
個人で新幹線定期を買うのは大変だが、半分を会社が負担するケースも増えている。そうなると、都会にこだわり、猫の額ほどの土地を求めることに、どんな意味があるのかと思ってしまう。都会に土地を求め、高額の借金返済をする場合と比較してみると、新幹線の定期代の半分を自己負担しても、十分計算が成り立つことに気づくのである。
東京を起点に考えると、東北方面は宇都宮、少し先まで足を延ばして那須塩原。長野方面なら軽井沢か。もう少し北に行くなら上田、小諸。海の景色を楽しみたいなら熱海、伊豆。新幹線の乗車時間を1時間と考えれば、驚くほど範囲は広い。

しかし、人間の考えることは皆同じで、新幹線通勤者が増えると座席確保が難しくなり、立ちっぱなしを余儀なくされるという、笑えない状況も出始めた。
それはさておき、交通手段の発達が、人々の行動のみならず、生活圏を急速に広げる役割を果たしているのは事実だ。将来永住するにしても、当分は会社勤めは辞められない。しかし、住む場所は東京以外にしたい。そんなジレンマを抱えて悩んでいるのであれば、新幹線通勤は十分魅力的ではないだろうか。もちろんそれに伴うデメリットも十分考慮しなくてはならないが。


土地を考えるBに続く→


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