ログハウス・注文住宅・輸入住宅「レッドシダー」の木の家・フロンティアワールドを知るにはこちら!

図書館・出版
ログハウスHOME > 図書館・出版トップ > 図書館 > エッセイ集

土地を考える@

エッセイ - 土地を考える -

1 2 3

至極当たり前のことだが、土地がなければ家は建たない。だから、どんな場所に建てるかは、どんな家を建てるのか以上に重要かもしれない。家は改修や建て直しがきくが、いったん場所を決めたら、周囲の環境を自分の力で変えることはできないからである。だからこそ、土地探しは真剣にならざるを得ないし、探し始めると、それがいかに難しいかを痛感する。
一生のうちで家や別荘を建てる機会は、そう何度もあるわけではない。いかに社会経験が豊富でも、ノウハウを持たずに土地探しはできない。そんなわけで、今回のテーマは、「土地を考える」である。


家を建て続けてきた経験から

北から南まで、いろいろな場所に家を建ててきた。上から覗くと目眩がするような急傾斜地や、道が狭くて車の入らない場所に建てたこともある。
道のない山の頂に家を建てたいという相談を受けたときは、大型ヘリコプターを使って建築資材を運ぶことを真剣に計画したこともあった。そんな実例を、アメリカの雑誌で読んだことがあったからである。しかし実現はしなかった。輸送費が高く付きすぎるのである。

島根県のある離れ小島にログハウスを建てたいという話があったときは、小さなボート程度の船しか接岸できないので、ログを筏に組んで運び、島に着いたら人力で運ぶ方法を考えた。
人は集められそうだったが、やはりコストがかかりすぎるということで実行には至らなかった。ヘリコプターも筏も、実現すれば面白かったのにと、残念に思った。

そんなわけで、日本各地の条件の異なる場所に家を建ててきたおかげで、土地を見る目は自然にできてきた。常に建設する立場で土地を眺めるようになったのである。
車で走ったりジョギング中に面白そうな土地に出くわすと、頭の中で段取りをシミュレーションしてしまうのである。「道路が狭くてコンテナが入らないな。2トン車ならどうにか通りそうだから、近くの広場で積み替えて運べばいいか」とか、「あの丘の上に家を建てたら、景観は最高だろう。35トンクレーンのアームをいっばいに伸ばせば届くかな。それにしても、あの電線が邪魔になるな」とか…。
一種の職業病かもしれない。


土地情報をどこから得るのか

別荘建築を頼まれ、「何でこんな土地を?」と考え込むことも少なくない。
例えば、周辺の土地は比較的傾斜が緩いのに、なぜかそこだけが急に落ち込んでいて、30度以上ありそうな傾斜地に家を建てたことがある。条件が墓いだけあって、土地の価格は安かったらしいが、それ以上に基礎づくりにコストがかかる。事前にそれがわっかていれば、決して安い買い物ではないことが理解できたはずなのに。

私は家を建てるのが仕事だから、決められた土地に文句を言う筋合いではないが、そのような経験が増えれば増えるほど、「これでいいのだろうか」と感じるようになった。建設する者の目で見てあげれば、もっと適切な土地選びのお手伝いができるのではないかと思ったのである。
それ以来、機会があれば土地を見てあげるように心がけている。迷っているのであれば、一緒に見て回って、アドバイスしている。いわばコンサルタントのようなものである。そんなことを続けているうちに、自分なりの土地探しの方法や、独自のネットワークもできてくる。

有益な情報は、やはりその土地に根を下ろして、古くから営業している不動産屋さんから得られることが多い。複数の不動産屋さんから情報を提供してもらったり、実際に土地を案内してもらっているうちに、そこが信頼できるかどうか、得意とする分野や情報量がわかってくる。その中から信頼して付き合える不動産屋さんを絞り込むのである。信頼関係ができれば、特別な情報の提供も受けられるようになる。
こちらが建築の専門家であり、お客からも不動産屋さんからも手数料を取るようなことをしないので、土地の長所や短所も教えてくれるし、利害関係がない分、こちらも客観的に判断できる。
東京をべースに、関東一円でそんな経験を重ねていると、広く浅くではあるが、その地域地域の特徴や土地の相場などが掴めてくる。


土地を考えるAに続く


1 2 3
Copyright(c) 2003- Ryozaburo Miura All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.
フロンティアワールドウェブサイトに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
次ページ

ページトップへ